オグラ眼鏡店

メガネは医療機器です。

成年期の眼精疲労

年とともに落ちる目の調節力
合った眼鏡で生活の質を向上

身長の伸びが止まった後の青年期は、近視や遠視、乱視の度数なども変化しにくくなり、安定した視機能を維持できる。焦点合わせなどの調節力もまだ十分にあるので、疲れを感じることが少ない時期だ。

しかし成年期になると目の調節力が急激に落ちてきて、疲れが顕在化してくる。調節力は年齢と共に減衰し、10歳頃の13D(ジオプトリ=1Dは焦点距離1㍍のレンズに相当する屈折調節力)から、30歳で7D、40歳で5D、50歳では2Dくらいになってしまう。

視力は1・0ある、―それでも起こるのが眼精疲労の症状。目の疲れが日々回復せずに蓄積され、ものが見えにくくなったり、目の痛みやしょぼしょぼする、頭痛などを引き起こす。これは、視機能の軽度なアンバランス状態により生じたもので、健康診断などで通常行われる視力測定だけでは検出できない。要因としては①近視の過矯正②遠視・乱視の未矯正③老視(老眼)④斜位などの眼位異常⑤ドライアイ⑥緑内障など眼疾患―などが挙げられる。

さらに、成年期は、仕事でパソコン業務や携帯端末の使用など、近業を長時間行うことが多い世代でもあるため、「これくらいならまだ大丈夫」と無理を続けているうちに、頭痛やめまい、肩こり、胃の不快感などの不定愁訴が出てくることも少なくない。

45歳以上になると、調節力が落ちて、近くの焦点合わせに負担がかかる。衰えてきた調節力を酷使することで余計な負担をかけてしまい、集中力が続かず、仕事の能率が落ちることにもつながりかねない。「少し近くが見えにくくなってきたかな」「近くの作業のとき疲れやすい、肩こりがする」と思う位でも気軽に眼科医に相談し、老眼鏡の装用を始めるなど、早目に適切な対処をしてほしい。

私自身も、初めて老眼鏡を作った時には、何で今までこんなに無理をしていたのかと痛感した。今の自分の視機能に合った眼鏡で楽に見えるようになると、生活にも張りが出るし、目が疲れるからと書類に気後れすることもなくなる。

さらに年を重ねると調節力が一段と低下し、網膜の感度も低下、眼の筋力が衰え、薄暗い中での順応性も低下していく。コントラスト感度の低下やまぶしさなど、見え方の質の変化もある。

また、眼鏡が合わなくなるなどの急速な視力の低下は、緑内障、白内障、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性などの眼疾患が隠れていることもあるので、早期の眼科受診は大切だ。

「医療機器としての眼鏡」トップへ戻る
東京医科大学医学部 眼科主任教授
飯田 知弘 氏

1985年、新潟大学医学部卒業。2000年に 米国マンハッタン・アイ・イヤー・スロート病院に留学。01年群馬大学医学部助教授、03年福島県立医科大学医学部教授などを経て12年より現職。専門は黄斑疾患、網膜硝子体疾患。日本眼科学会評議員、日本網膜硝子体学会理事、日本眼循環学会理事などを務める